2017年12月15日

國分功一郎氏の『中動態の世界』の批判的検討(5)

(最終回の予定でしたが、しつこく連載を続けます。)

 國分功一郎氏の『中動態の世界』をお読みになった方々全員に、以下の問いに答えていただきたい。

 F国とA国との間で戦争が勃発した。
 F国人の若者の多くが、F国の命令に従い徴兵される中、F国人のJは、A国人の友人を殺したくないという理由で徴兵を拒み、D国へ逃れた。
 その結果、Jは、F国の法廷でその行為の責任を問われ、有罪となった。
 一方、F国の命令に従って徴兵され、A国人を殺害したF国人の若者たちの中には、A国の法廷でその行為の責任を問われ、有罪となった者もいた。
 この二つの有罪を、同種の有罪とみなすことはできるのか、できないのか。


 もう一つ、問いを提出しよう。

 バスの座席に腰かけていた黒人女性がいた。
 車内が混雑すると、バスの運転手は彼女に、白人に座席を譲るように命じたが、彼女は決して譲ろうとしなかった。
 その結果、彼女はその行為の責任を問われ、警察に逮捕された。
 彼女の行為に、彼女の「自由意志」を認めることはできるのか、できないのか。


 國分氏ご本人に、この問いにお答えいただけるのが、一番好ましいのだけれど。

(6)に続く

(持田 睦)
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2017年12月12日

ひょっとしていつの日かすべての人間が芸術家である社会が生まれるかもしれない…

 アテネ・フランセ文化センターで上映されたユイレとストローブの『四部の提案』後の対談を終えてから、2日が経過した(対談の翌日から塾の仕事が続いたため、ご報告が遅くなってしまった…)。

 当日は大きな緊張に包まれたが、対談の司会をしてくださったアテネ・フランセ文化センターの松本正道氏、対談のお相手をしてくださった渋谷哲也氏、それから会場の内と外で応援してくださった大切な仲間たちのサポートのおかげで、どうにか大役を果たすことができたのではないかと思う。

 渋谷氏との対談の中で、僕が思い出さずにはいられなかったのは、渋谷氏の『ドイツ映画零年』(共和国、2015年)の中で引用がなされている、以下のファスビンダーの言葉だ。
だが、僕はユートピアへのまなざしを込めて映画を撮ることもできる。ひょっとしていつの日かすべての人間が芸術家である社会が生まれるかもしれないという具合に。(110頁)
 今回の対談は、そうした社会を生みだす活動を開始するための、大きなきっかけになるのではないか…。

 対談後、渋谷氏を中心とした食事会の場に集まった魅力的な方々と楽しくお話をさせていただきながら、僕は希望で胸をふくらませずにはいられなかった。

 なお、対談時に『四部の提案』に関するご質問をいただいたにもかかわらず、僕の準備不足のため、満足いただける返答ができなかったと感じている。

 次回の『四部の提案』の上映(2/22)までに、「ユイレとストローブの『四部の提案』を見る前に/見た後に」という記事を公開する予定だが、その要点を少しだけ記しておこう。

 『四部の提案』(1985年)というモンタージュ作品は、ユイレとストローブの映画の前期のキーワードが「血と土」であることを明示する作品である。彼らの映画の前期が『四部の提案』の直前、すなわち『階級関係』(1983年)で終わるのだとするならば、その後期は『四部の提案』の直後、すなわち『エンペドクレスの死』(1986年)から始まる。なお、後期のキーワードが「共産主義者たち」であることは、2014年にストローブによって作られたもう一つのモンタージュ作品のタイトルが示している通りである。

 今日から「ストローブ=ユイレの軌跡 1962-2016」の第2期が、『エンペドクレスの死』とともに始まる。

 未見の方は必見だ(たとえ開始5分で、睡魔に襲われようとも)。

(持田 睦)
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2017年12月09日

本日(12月9日)、18時より、アテネ・フランセ文化センターにて、渋谷哲也氏と対談いたします

 ついに、この日を迎えました…。
 本日、18時より、アテネ・フランセ文化センターにて、渋谷哲也氏と対談いたします。
 渋谷氏とともに、ユイレとストローブの映画の魅力をお伝えすることができたらと願っています。

 なお、対談前に上映される、ユイレとストローブの1985年の作品『四部の提案』(40分)は、本邦初公開になります(必見です!)。

 本ブログをご覧の皆さま、ぜひ会場に足をお運びください。

 全力を尽くします!

(持田 睦)
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